顧客満足度(CS)とは?向上させるメリットや高める方法、取り組み事例を紹介!
各種資料・セミナー・研修・会議などで、「顧客満足度(CS)」という単語を見聞きした経験がある方は多いでしょう。ただし、意味や向上させる方法などを正確に把握できていないかもしれません。
顧客満足度とは、顧客が購入・利用した商品・サービスに満足している度合いです。サービス業では、生産性を測る上で重要な概念・用語とされています。
本記事では、顧客満足度の意味や、向上させることで企業が享受できるメリットを詳しく解説します。また、顧客満足度を向上させる方法や、具体的な取り組み事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。顧客満足度の向上に取り組み、業績拡大につなげましょう。
目次
顧客満足度(CS)とは
顧客満足度(CS)を向上させることで企業が享受できるメリット
リピーターが増える
新規顧客獲得につながる
ブランディングに役立つ
コストダウン・生産性向上につながる
顧客満足度(CS)を向上させる方法
多様な調査方法(アンケートなど)を駆使して顧客の声を把握する
事後評価が事前期待を上回るように施策を講じる
顧客満足度の調査・向上に関連したITツールを導入・活用する
従業員満足度を高める
顧客満足度(CS)向上の取り組み事例
生活協同組合の事例
メーカー(製造業)の事例
不動産業の事例
顧客満足度(CS)に関するよくある質問
顧客満足度調査で用いられることがある「JCSI」とは?
顧客満足度の調査・向上に取り組む際に注意すべき点は?
顧客満足度(CS)とは
顧客満足度とは、顧客が購入・利用した商品・サービスに満足している度合いです。主に経営学やビジネスの現場で用いられており、サービス業では生産性を測る上で重要な概念・用語とされています。英語では「Customer Satisfaction」で、「CS」と略されることもあります。
顧客満足度は、経済学の「消費者余剰(Consumer Surplus)」に近い概念です。消費者余剰とは、ある財に対して消費者が感じる価値から価格を控除したもの(価値から価格を差し引いたお得感)です。
例えば、オークションサイトやフリマアプリでハイブランドのバッグが出品されていたケースを想定しましょう。この場合、「5万円までなら出せる」と考えていて3万円で落札できれば、消費者が感じるお得感(消費者余剰)は5万円-3万円=2万円です。
なお、経営学で用いられる「顧客満足度」は、特定の層(自社がターゲットとする顧客)を対象とする概念です。一方、経済学で用いられる「消費者余剰」は、全消費者を対象とする点が異なります。
顧客満足度(CS)を向上させることで企業が享受できるメリット
顧客満足度(CS)の向上に取り組めば、企業は様々なメリットを享受でき、結果的に利益の増加につながります。以下、享受できる主なメリットを4つ紹介します。
リピーターが増える
「もう1回購入・利用したい」と感じてもらえる商品・サービスを提供して、顧客満足度を向上させれば、既存顧客のリピート率が高まります。そして、LTV(Lifetime Value、顧客生涯価値)が増加します。
LTVとは、顧客1人が生涯を通じて企業にもたらす価値の総計のことで、「顧客を獲得・維持するための合計コスト」と「顧客の合計購入金額」の差をさします。
特に人口減少が続く昨今の日本では、新規顧客を獲得するハードルが高い傾向にあります。新規顧客を獲得する際は、既存顧客をリピーター化する場合に比べておおよそ5倍のコストがかかるとされています。
そのため、既存顧客に繰り返し商品・サービスを購入・利用してもらってLTVを増大させることが、安定的に事業を営む上で重要です。
新規顧客獲得につながる
顧客満足度を向上させると、既存顧客のリピーター化だけではなく、新規顧客の獲得にもつながります。これは、商品・サービスを購入・利用した顧客が、友人・知人に紹介したり、口コミサイトなどにポジティブな内容の書き込みを実施したりするためです。
新規顧客の獲得が困難な創業直後の時期は、顧客満足度を向上させることは、新規顧客開拓をスムーズに進める上で有効な手段です。
ブランディングに役立つ
顧客満足度が高まれば、意図しないところで「優れた商品・サービスである」という内容の投稿が拡散される場合があります。具体的には、各種SNSや掲示板サイトなどの書き込みが挙げられます。
その結果、企業や商品・サービスのイメージが向上し、ブランディングの強化に役立つケースもあるでしょう。
コストダウン・生産性向上につながる
顧客満足度が向上すると、レビュー・口コミサイトなどで評価が高まる他、友人・知人の紹介も増加します。費用をかけずに店舗や商品の宣伝ができるため、コストダウン(広告費の削減)を実現できます。
また、リピーターやファンが増えることで客単価が上がり、同じ労働時間で、より多くの付加価値を生み出せるため、結果、生産性の向上にもつながるでしょう。
これは、生産性が「成果物(アウトプット)÷ 投入(インプット)」という式で算出されるためです。顧客満足度は、サービス産業の生産性を測る上でも重要な指標とされています。
顧客満足度(CS)を向上させる方法
顧客満足度(CS)を向上させると、上述したメリットを享受できるので、積極的に取り組みましょう。以下、具体策を4つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
多様な調査方法(アンケートなど)を駆使して顧客の声を把握する
顧客の「生の声(どのような点を高く評価し、どのような要素に感動するのか)」を把握するために、調査を実施してください。調査結果を解析した上で、商品・サービスの改善に活かしましょう。
主な調査手法は、アンケート調査、リサーチ会社によるモニタリング調査、Webサイト上の行動データの収集・分析が挙げられます。
事後評価が事前期待を上回るように施策を講じる
顧客満足度は、事後評価(実績評価)が事前期待(顧客が求めていること)を上回った際に高まるとされています。
実店舗やECサイトを訪問した消費者がどのようなことを期待しているのか正確に把握し、期待を上回る価値を提供しましょう。なお、経営者やマーケティングなどに携わっている方は、商品・サービスの価格だけに着目して施策を実施してはいけません。
価格に加えて、情報を検索する労力や接客方法も事後評価を左右することを踏まえて施策を講じてください。
顧客満足度の調査・向上に関連したITツールを導入・活用する
勘や経験に頼っているだけでは、顧客満足度が向上しない場合があります。顧客満足度の測定や向上に役立つITツール(CRMシステムなど)を導入し、データを分析しましょう。どのような顧客を抱えていて、どのような商品・サービスに興味・関心があるのかチェックしてください。
最後に接触した日時や、やり取りした内容を把握した上で、個々の顧客に最適化された提案・サポートを実施すれば、顧客満足度が高まるでしょう。
従業員満足度を高める
従業員満足度と顧客満足度には関連性があります。なお、アメリカの経営学者ジェームス・L・ヘスケット氏らによると、従業員満足度が1%向上すると顧客満足度が0.22%増加するとされています。
「適材適所で働ける体制を整える」「労働に見合った報酬を支払う」など、従業員が満足できる職場環境を構築しましょう。そうすれば、商品・サービスの質や生産性が高まり、結果的に顧客満足度の向上につながります。
顧客満足度(CS)向上の取り組み事例
顧客満足度(CS)向上は様々な企業が注力しており、取り組みに成功した企業も多く存在します。企業の具体的な取り組み事例を3つ紹介するので参考にしてください。
生活協同組合の事例
共済事業を営む生活協同組合Aでは、調査によって業界内の相対的なポジションを把握し、自組織の強みや弱みを客観的に分析しました。結果を全部署で共有し、取り組むべき課題を洗い出して事業計画や商品施策に採り入れ、Webサイトや商品パンフレットの改善を進めています。
また、Webサイトに関しては、全面的にリニューアルしました。具体的には、FAQ(よくある質問)をニーズに的確に応える内容に改善し、各種手続きに関する案内を理解しやすい記述に変更しています。これらの施策により、顧客満足度が向上しました。
メーカー(製造業)の事例
分析計測装置を製造・販売しているB社では、ITツールを導入した上で、自社製品を購入した顧客に対し、年1回アンケート調査を実施しています。具体的には、製品・サービスの推奨度や製品・営業窓口・サービス窓口の満足度に関する設問に回答してもらう調査です。
なお、「調査を実施したら、それで終わり」ではなく、様々な角度から調査結果を分析して製品ごとに強み・弱みを把握しています。その結果、顧客満足度の向上を実現できました。
不動産業の事例
マンションの売買に強みがある不動産仲介業者C社では、従業員の「人間力」が重要です。同社では、研修によって人間力を高め、顧客への接し方を磨くことで、顧客満足度の向上を達成しました。
また、アンケートを実施して顧客の「生の声」を収集し、従業員にフィードバックしています。フィードバックする内容は、ポジティブなものだけではありません。ネガティブなものも含めてスタッフに伝達し、従業員が自律的に考え、動ける仕組みを整えています。
さらに、体育会系のカルチャーではなく、「どのようなことでも相談できる職場環境」の構築にも取り組んでいます。
顧客満足度(CS)に関するよくある質問
顧客満足度(CS)の調査・向上に取り組む際には、疑問点が生じることがあるかもしれません。以下、「よくある質問」と「回答」を示すので、ぜひ参考にしてください。
顧客満足度調査で用いられることがある「JCSI」とは?
JCSIとは、「Japanese Customer Satisfaction Index」の略で、「日本版顧客満足度指数」とも呼ばれます。日本国内の企業が販売・提供する商品・サービスに対する顧客の満足度を測定・比較するために使用される指標です。
なお、JCSIは、アメリカで活用されている「CSI(Customer Satisfaction Index)」をカスタマイズしたものです。具体的には、顧客期待値・顧客忠実度・顧客不満度・知覚品質・知覚価値・推奨意向を測定し、指数として算出します。
顧客満足度の調査・向上に取り組む際に注意すべき点は?
商品・サービスの価格を下げると、顧客が満足するため、顧客満足度調査で肯定的な結果が得られるかもしれません。しかし、単に価格を引き下げるだけでは、「利益を出す」という企業の根本的な目標の達成は困難です。
低価格競争に巻き込まれると疲弊するため、付加価値を高めるための施策を実施して、顧客満足度を向上させましょう。
「営業・デジタル マーケティングWeek」で顧客満足度向上に役立つツール・ソリューションを探そう
RX Japanが主催する展示会「営業・デジタル マーケティングWeek」では、顧客満足度向上に役立つツールなどが数多く展示されます。
顧客満足度の向上に取り組んでいる方は、ご来場の上、ツール・ソリューション・サービスに関する最新情報を収集してはいかがでしょうか。また、「営業DX EXPO」は、顧客満足度向上に役立つツール・ソリューション・サービスを開発・販売・提供している企業にも有用な展示会です。新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。
下表に、「営業・デジタル マーケティングWeek」の開催地域・開催場所・日程をまとめました。
顧客満足度(CS)の向上に取り組み、売上増を実現しよう
顧客満足度とは、顧客が購入・利用した商品・サービスに満足している度合いです。顧客満足度を向上させれば、企業は様々なメリットを享受でき、結果的に利益が増加します。
顧客満足度を向上させるために、アンケート調査を実施して顧客の「生の声」を把握し、事後評価が事前期待を上回るよう施策を講じましょう。さらに、ITツールを活用したり、従業員満足度を高めたりすることも有効です。
RX Japanが主催する展示会「営業・デジタル マーケティングWeek」では、顧客満足度向上に役立つツールなどが展示されます。顧客満足度の向上に取り組んでいる方は、ご来場の上、ツール・ソリューション・サービスに関する最新情報を収集しましょう。
また、「営業DX EXPO」は、顧客満足度向上に役立つツール・ソリューション・サービスを開発・販売・提供している企業にも有用な展示会です。新規顧客開拓につながるため、出展を検討してはいかがでしょうか。
▶監修:青井真吾 氏
プロフィール:大学卒業後はIT企業に入社。システムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発を経験。その後独立し、人材派遣、不動産、自動車、ファッション、エネルギーなど多くの業界でDX推進などのITプロジェクトに従事。現在はAOIS Consulting株式会社を設立し、エンタープライズシステムの開発・導入を支援するITコンサルティングサービスを展開している。