売上とは?利益との違いや売上高の計算方法、拡大させるための方法を詳しく解説!

売上は企業の利益の起点であり、業績に重要な影響を及ぼす指標です。売上と利益、どちらを優先すべきなのかを考える経営者も多いのではないでしょうか。

これから事業を開始する予定の方や、すでに開始している方は、売上と利益(売上から経費を差し引いた金額)の違いを正確に理解しておきましょう。

本記事では、売上の用語・概念に関して詳しく解説します。売上と利益の違いや売上高(一定期間の売上を合計した金額)を計算する方法、売上を拡大させるための方法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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経営や会計に携わる方が理解するべき「売上(売上高)」とは

売上とは、個々の商品・サービスを販売した際に獲得する金額です。営業外収益(預貯金の利息や有価証券の売却益など)は売上に含まれません。また、売上高とは、一定期間の売上を合計した金額です。

売上の計上時期は、原則として口座への入金時ではなく、出荷・検収などが実施されたタイミングです。本来であれば年度内に計上するべき売上を翌年度の売上として計上してしまうと、1年間の売上高が正しく算出されません。

そのため、出荷・検収のタイミングと口座に入金されるタイミングが会計年度をまたぐ場合は注意しましょう。

また、小売業(スーパーなど)の場合、顧客に販売したタイミングで売上が発生します。判断に迷う場合は、税務署や税理士などにご相談ください。


売上(売上高)と利益の違い

ビジネスでは、「売上(売上高)」の他に「利益」の概念・用語も使用されます。利益とは、売上(売上高)から経費などを差し引いた金額です。原則として、売上よりも利益を重視して経営することが推奨されます。

ただし、創業直後・成長段階の企業は、新規顧客獲得・市場シェア拡大のために、経費を圧縮せず利益よりも売上の増大に重点を置くべきです。

利益には、以下の5つの種類があります。

  • 売上総利益(粗利益)
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 税引前当期純利益
  • 当期純利益

それぞれに関して詳しく説明します。


売上総利益(粗利益)

売上総利益とは、商品・サービスの販売で得た金額(売上・売上高)から、売上原価を差し引いた金額です。

売上総利益は、以下の計算式で算出します。

売上総利益=売上(売上高)-売上原価

生み出している付加価値を示す数値であり、「粗利益」や「粗利」とも呼ばれます。例えば、500万円分の商品を仕入れて販売し、合計で800万円の売上が発生した場合、売上総利益は300万円です。なお、製造業の場合は、人件費も売上原価に含まれます。


営業利益

営業利益とは、売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いた金額で、本業での収益性(どのくらいの儲けがあるのか)を示す数値です。

営業利益は、以下の計算式で算出します。

営業利益=売上総利益-販売費および一般管理費

販売費とは、広告宣伝費・旅費交通費・接待交際費など、商品を販売するための営業活動に直接かかる費用です。また、一般管理費とは、人件費・地代家賃・水道光熱費・消耗品費など、営業活動に直接関係しない費用をさします。


経常利益

経常利益とは、営業利益(本業で稼いだ利益)と営業外利益(本業以外で稼いだ利益)を足した金額です。営業外利益は、営業外収益から営業外費用を差し引いた金額です。

経常利益は、以下の計算式で算出します。

経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用

営業外収益の具体例は、受取利息や家賃収入(不動産業以外の場合)です。また、営業外費用の具体例は、支払利息や配当金の支払いに要する費用です。


税引前当期純利益

税引前当期純利益とは、経常利益に特別利益(一時的な利益)を加え、特別損失(一時的な損失)を差し引いた金額です。

税引前当期純利益は、以下の計算式で算出します。

税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失

特別利益の具体例は、固定資産(企業が所有する土地・建物など)の売却益、特別損失の具体例は、盗難・災害による損失が挙げられます。


当期純利益

当期純利益とは、税引前当期純利益から、各種税金(法人税・住民税・事業税など)を差し引いた金額です。

当期純利益は、以下の計算式で算出します。

当期純利益=税引前当期純利益-各種税金(法人税・住民税・事業税など)

最終的に企業の手元に残る利益であり、従業員に賞与をどの程度出せるかを判断する際の指標にも用いられます。


売上高の計算方法

まず、特定期間内に売れた商品・サービスの数量を把握し、売上数量に単価をかけて、品目ごとの売上高を算出しましょう。その上で、自社が取り扱っている全商品・サービスの売上高を合計して、総売上高を算出してください。

なお、黒字化するために必要な売上高や、目標利益を達成するために必要な売上高を計算することも可能です(詳細は後述)。


損益分岐点売上高および目標利益達成に必要な売上高の計算方法

事業を営む際には売上高が拡大するほど手元に残る利益が増え、売上高が少ない場合は最終的に赤字の状態に陥る可能性が高まります。

黒字化するために必要な売上高は、「損益分岐点売上高」と呼ばれます。損益分岐点とは、事業に必要な費用と売上高が一致する点です。

損益分岐点売上高は、以下の計算式で算出します。

損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)

変動費率とは変動費を売上高で割った数値で、以下の計算式で算出します。

変動費率=変動費÷売上高

例えば、「固定費が500万円、変動費率が50%」の場合、損益分岐点売上高は500万円÷(1-0.5)=1,000万円と算出されます。つまり、黒字化するためには1,000万円以上の売上高を実現しなければいけません。

なお、目標利益を達成するために必要な売上高は「(固定費+目標利益)÷(1-変動費率)」で算出できます。


売上を拡大するための方法

企業が成長し続けるためには、売上を増加させる必要があります。以下、売上を拡大するための具体的な方法を3つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。


ECサイトを構築・運営する

実店舗だけで商品を販売する場合、主な顧客は近隣住民であり、売上拡大には限界があります。しかし、ECサイトを構築・運営すれば、日本全国の消費者が購入してくれる可能性があります。

英語や中国語など、多言語に対応し、海外に向けて販売することも検討しましょう。世界のEC市場の規模は増加し続けているため、売上拡大を期待できます。


無料ではなく、有料でサービスを提供する

ビジネスを営む際には、集客のために無料でサービスを提供するケースもあるでしょう。しかし、無料でサービスを提供しても売上増にはつながりにくいため、顧客のニーズを満たすマーケティング戦略を立てることが大切です。

消費者にとって魅力的なサービスであれば、有料で提供することもご検討ください。例えば、近年、「有料で予約した顧客に対して待ち時間なしで優先的に食事できるサービス」を提供する飲食店が増加中です。

「お金を払ってでも店頭で並ばずに食事したい」と考える顧客による利用が広まっており、店舗側としては売上増を期待できます。


製品・サービスを展示会に出展する

優れた製品・サービスを開発・製造しても、認知度が低い場合、購入してもらえません。自社が開発・製造している製品・サービスを展示会に出展すれば、認知度が向上し、新規顧客開拓に役立つでしょう。

展示会には、様々な顧客が来場します。これまで接点がなかった業界・業種の顧客と出会う機会が生まれ、売上拡大につながります。


売上アップに役立つおすすめサービスや最新情報を探すなら「営業DX EXPO」へ

RX Japanの展示会「営業・デジタル マーケティング Week」の「営業DX EXPO」では、売上を上げるための高品質アポイント獲得やデータ分析活用、SFA・CRMなどが数多く出展します。

経営者や営業推進・企画、マーケティングに携わっている方は、ご来場の上、ツール・サービスに関する最新情報を収集しましょう。また、ツール・サービスを提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために出展を検討してはいかがでしょうか。

下表に、「営業DX EXPO」の開催地域・開催場所・日程をまとめました。


売上高の計算方法や利益との違いを正しく把握して事業を営もう

事業を営む際には、売上や利益の違いを理解した上で、売上高や5種類の利益を正確に計算することが欠かせません。なお、手作業で計算するとミスする可能性があるため、外部のITツール・サービスを利用して自動化しましょう。

RX Japanの展示会「営業・デジタル マーケティング Week」の「営業DX EXPO」では、売上などの計算に役立つツール・サービスが多数展示されます。

経営者や経理・会計に携わっている方は、ご来場の上、ツール・サービスに関する最新情報を収集しましょう。また、ツール・サービスを提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。


デジタルの力で営業・マーケティングを進化させる総合展

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▶監修:青井真吾 氏

プロフィール:大学卒業後はIT企業に入社。システムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発を経験。その後独立し、人材派遣、不動産、自動車、ファッション、エネルギーなど多くの業界でDX推進などのITプロジェクトに従事。現在はAOIS Consulting株式会社を設立し、エンタープライズシステムの開発・導入を支援するITコンサルティングサービスを展開している。

HP:https://aoisconsulting.com/