アノテーションとは?AIの開発工程や注目される理由、種類などをわかりやすく解説

アノテーションはAIを開発する工程のひとつで、その精度はAIの完成度に大きな影響を与えます。今や多くの企業で実践される身近なテクノロジーですが、実際にどのような作業を行い、何ができるようになるのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、アノテーションの定義や重要性、開始するために必要な準備や注意点などについて解説します。

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アノテーションとは?

アノテーションとは、英語で「注釈」や「注記」の意味を持つ言葉です。

IT分野では、画像や動画、音声やテキスト等のデータに関連する情報をタグ付けする工程をさします。主にAI技術に必要な「教師データ」を作るために行われプロセスです。

AIの開発工程においてアノテーションは重要

AIの開発工程は大きく5つあります。

1.        データ収集
2.        アノテーション
3.        機械学習
4.        モデル評価
5.        実装

AIの機械学習には「教師あり」と「教師なし」の2つの学習方法があります。教師あり学習は、データの分類やデータを元に予測して学習する方法です。

目的に沿ったルールをAIに学習させるには、正確なタグ付けが行われた大量のデータが必要です。そのため、アノテーションはAIやデータ分析における機械学習を正確に行うための事前準備であり、開発工程の重要なポイントとなります。


アノテーションが注目される理由

様々な企業で、ビックデータと呼ばれるビジネスに役立つ膨大なデータの有効活用や管理が必要とされています。

アノテーションはデータを分類しパターン化する作業です。アノテーションで大量かつ精度の高い教師データを用意できれば、判断や予測精度が高いAIを作成でき、膨大なデータを適切に分類、管理できます。

しかし、膨大なデータをアノテーションするには手間がかかり、自社のリソースだけで行うことが難しい場合もあります。アノテーション作業を代行する企業もあるので、他社への依頼も検討しましょう。


アノテーションの種類

アノテーションの対象となるデータは3つあります。

  • 画像や動画データ
  • テキストデータ
  • 音声データ

以下で詳しく解説します。

画像や動画データ

画像や動画のアノテーションは、物や人物など、画像や動画内にある物体に対してタグ付けをします。

例えば、正常な商品の画像にタグ付けしてAIに覚えさせれば、不良品が出た時に排除する不良品検出に役立ちます。また、人の様々な表情の映像にタグ付けすれば、感情の変化をAIが識別できるようになります。

画像や動画データのアノテーションには次の5つの手法があります。

物体検出

  • 画像や動画に映ったものを検出し、言葉に意味を付けていくアノテーション
  • 物体を識別するAIを作成するのに役立つ

領域抽出

  • 特定の領域を選択してタグ付けするアノテーション
  • 特定の物体だけを抽出するのに役立つ

画像分類

  • 1枚の画像にタグ付けするアノテーション
  • シンプルな手法

多角形での領域指定

  • 画像や映像に映った物体の領域を多角形で囲う
  • 多角形で領域を指定するため、正確なアノテーションが可能

目印の検出

  • 細かいパーツのアノテーションを行うことで、些細な変化も検出できる
  • 顔認識で用いられる

それぞれの手法の特徴を理解し、作成したいAIの目的に応じて取り入れましょう。

テキストデータ

テキストデータのアノテーションは、特定のテキストデータに対してあらかじめ定義されているラベルをタグ付けします。

ラベルの種類は複数あり、特定の商品名や企業名で分類する場合もあれば、言葉が意味する感情や意図で分類するものもあります。

内容によっては分類が難しい場合もありますが、例えば、スパムメールの判別やニュース記事の分類などに活用できます。

音声データ

音声データのアノテーションは、以下の2種類に分けられます。

  • 音量や音の種類にタグ付けする
  • 音声の意味にタグ付けする

音声データを文章として書き起こし、単語ひとつひとつに意味をタグ付けしていきます。

例えば、「あのメーカーの、えーっと、イヤホンを探している」の音声では、「メーカー」「探している」の音声にタグ付けします。また、「あの」「えーっと」の感情の識別も必要なので、テキストデータのアノテーションも行うケースが多いです。

インフォメーションセンターで多言語音声認識AIを搭載したロボットや、会議の議事録の自動化など、音声認識が必要な場面で活用されています。


アノテーションを開始するために必要な準備

アノテーションをはじめるには以下の準備が必要です。

  • データ:大量の画像や動画データ、テキストデータ、音声データ
  • アノテーター:アノテーションを実行するスタッフや責任者
  • アノテーションツール:アノテーションを実行する際に利用するツール

データは、画像や動画データ、テキストデータ、音声データなどをさします。データ量が少ないとAIは過学習を起こしてしまい、データを正しく認識できない可能性があるので、様々な種類のデータを多く集め精度を高めましょう。

アノテーションを行うアノテーターは、データ集めから、作業基準書や仕様書の作成、効率的な手順の確立、タグ付けしたデータのチェックなどを行います。専門知識も必要ですが、マネジメントの経験やスキルも求められます。

アノテーションの際のアノテーションツールは、自社開発のものや、企業が提供しているサービスがあります。しかし、自社で収集するには人的なリソースや作業時間が必要になるため、他社が提供しているアノテーションツールを利用すると良いでしょう。

アノテーションは膨大なデータを処理しなければならないため、操作性を重視し、自社で構築したいAIモデルにあわせて選びましょう。


アノテーションを実施する方法

アノテーションを実施する方法は、以下のとおりです。

  • 自社で収集とタグ付けを行う
  • データを購入する
  • 公開データセットを活用する

実際にアノテーション作業を行うには、データ収集や人的リソースの確保、ツールの活用など多くのポイントがあります。

まず、アノテーション作業は専門知識と正確なスキルが必要です。しかし、社内でこれらのスキルを持つ人材を見つけ、必要なトレーニングを提供することが困難な場合があります。

また、AIの構築には膨大なデータ収集が不可欠で、自社で収集すると多大なリソースが必要になります。完全内製化は難しいアノテーション業務ですが、他社が提供しているアノテーション済みのデータを購入する、あるいは公開データセットを活用すると良いでしょう。

ただし、企業によって購入できるデータが異なるため、目的に合うデータを作成してもらえるかを事前に確認してください。


アノテーションの実施を検討しているなら「AI・業務自動化 展」へ

アノテーションはAI開発のとくに重要な作業ですが、自社で取り組む場合、データ収集や人材確保など膨大なリソースが必要になります。

アノテーション作業のノウハウや専門の人材が自社にない場合、代行会社に委託するのも有効な手段です。また、研究機関などで公開されているデータセットを利用するほか、学習済みデータを提供している企業のサービスを利用するのも良いでしょう。

「Japan DX Week」内の「AI・業務自動化 展」では、最新のアノテーションサービスや関連技術が集結し、複数の企業のサービスを比較検討できます。また、作成したいAIの方向性や仕様についても相談できる絶好の機会です。

アノテーションサービスや関連技術を提供する企業にとっては、新規顧客獲得につながるため、「AI・業務自動化 展」への出展をご検討ください。

下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。


日本最大級のDX総合展

【構成展示会】
AI・業務自動化展、社内業務DX EXPO、
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アノテーションはAI開発の重要な工程

アノテーションは、AIの機械学習において必要不可欠な作業のひとつです。機械学習では正確な情報が大量に必要になり、アノテーションは情報を正確に分類する作業のため、AIの品質に大きな影響を与えます。

膨大なデータを収集するには、自社内では多大なリソースを要するため、アノテーション代行企業やツールの活用も選択肢に含めてみましょう。

RX Japanが主催する「Japan DX Week」内の「AI・業務自動化 展」は、最新のアノテーションサービスや関連技術が集まります。アノテーションの実施に役立つ情報を収集する、アノテーション関連の自社サービスを説明する場として、ぜひご活用ください。


▶監修:大岩俊之氏

プロフィール:家電製品総合アドバイザー
理系出身の元営業マン。大学ではAI(人工知能)を学びITエンジニアとして就職し、のちに電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。