ゲートウェイとは?ルーターとの違いや導入方法、活用例などを初心者向けに解説!

企業のシステム担当部署などで勤務している方は、「ゲートウェイ」という単語を見聞きした経験があるかもしれません。

ゲートウェイは、異なるプロトコルのネットワークを中継する機器・機能の総称で、種類によっては通信が安定したり、セキュリティが向上したりする場合もあります。プロトコルには様々な種類が存在しており、ゲートウェイは円滑な相互通信を実現するために重要な役割を果たしています。

本記事では、ゲートウェイの役割や、ルーターとの違い、ゲートウェイを設置する目的・メリット、ゲートウェイの種類、導入方法、活用例をご紹介します。

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ゲートウェイとは

ゲートウェイ(Gateway)とは、プロトコル(通信規約・通信手順)が異なるネットワークを中継する機器・機能の総称です。

通信プロトコルが異なるネットワークの端末同士では、直接データをやり取りできません。ゲートウェイを介すことで通信プロトコルが変換され、スムーズな相互通信が実現されています。

Gatewayは、本来、「門のある道」「玄関」「出入口」といった意味の英単語です。異なるプロトコルのネットワークを中継する役割が「門番」に似ていることから、ネットワーク用語としても使用されています。

プロトコルとは

プロトコルとは、ネットワークの通信規約(通信を成り立たせるための手順・ルール)で、様々な種類があります。下記に、代表的なプロトコルをまとめました。

TCP/IP

  • ARPANET(米国の国防総省が構築を支援した通信ネットワーク)のために開発されたプロトコル
  • 2024年時点で主流のプロトコル群で、インターネットなどで用いられる
  • 1種類のプロトコルではなく、TCP、IP、UDPなど、複数のプロトコルに対する総称

IPX/SPX

  • 米国ノベル社が開発したプロトコル
  • 分散ファイルシステム「NetWare」で用いられる

AppleTalk

  • 米国Apple社のパソコンなどで通信するために開発されたプロトコル
  • 現在は、Apple社のデバイスでもTCP/IPを用いて通信するケースが多い

ゲートウェイは、異なる言語の話者がコミュニケーションを試みるための、言わば通訳者のような役割を担います。

プロトコルが異なるネットワークは、そのままでは通信できませんが、ゲートウェイの介在によって通信が実現されます。


ゲートウェイとルーターの違い

IT分野においては、ゲートウェイとルーターの両方がネットワークを中継するデバイスを指すため、ほぼ同じ意味で使用されるケースも多いです。

ゲートウェイは、異なるネットワークを中継する仕組みの総称です。ルーターは、IPアドレスを判別してネットワークを中継するための機器を指します。

ルーターはゲートウェイの一種で、ゲートウェイは、ルーターを含む広い概念であることを覚えておきましょう。


ゲートウェイを設置する目的・メリット

通信プロトコルが異なるネットワークは、そのままでは相互に接続できません。プロトコルを変換し、異なるネットワークを中継するためにはゲートウェイが必要です。

OSI参照モデルではプロトコルが7階層に分類されていますが、階層・領域をまたいでネットワークをリンクすることがゲートウェイの役割です。

ゲートウェイの種類によっては、通信が安定し、セキュリティが向上する場合もあります。ルーターによる接続で通信が安定しない場合は、ゲートウェイの設置も検討しましょう。

なお、IoT機器(センサーなど)からデータを収集してクラウドサーバーなどに転送したり、デバイスを制御したりできるゲートウェイもあります。


ゲートウェイの種類

近年、多種多様な製品が市場に供給されていますが、ゲートウェイは大きく4つのタイプがあります。以下、各タイプのゲートウェイに関して詳しく説明します。


ホームゲートウェイ

ホームゲートウェイとは、一般家庭で利用されるゲートウェイ機器の総称です。ONUとルーターの機能を備えた機器を回線事業者からレンタルするケースが多く、光ファイバー回線内を通過する光信号と、パソコンなどのデジタル信号を相互に変換します。

なお、ONUとは、光信号と電気信号の変換を担う機器です。「Optical Network Unit」の略で、日本語では「光回線終端装置」と訳されます。


VoIPゲートウェイ

VoIPとは、インターネット回線を利用して音声データを送受信する技術のことです。

音声信号は、PBX(構内電話交換機)からVoIPゲートウェイ経由でデジタル信号に変換され、インターネット回線を介して通話相手にデジタル信号が到達します。到着したデジタル信号は、再びVoIPゲートウェイを経由して音声信号に戻る仕組みです。

VoIPによる通話サービスは、電話回線の工事が不要なので、従来の電話よりもコストを低減可能です。

主に企業で利用される050型のIP電話や、一般家庭でよく利用される0ABJ型IP電話があります。


デフォルトゲートウェイ

デフォルトゲートウェイとは、一般家庭または会社内のLANから外部ネットワークに接続する際に、出入口の役割を果たす仕組みです。

デフォルトゲートウェイという名称の機器が販売されているわけではなく、ルーターなどの機器に機能として搭載されていることをご留意ください。

なお、ネットワーク内部にあるデバイス同士の通信では、デフォルトゲートウェイは使われません。


インターネットゲートウェイ

インターネットゲートウェイとは、ネットワーク内部からインターネットに接続するためのゲートウェイ機能・システムです。

社内LANに接続されている端末には、ネットワーク内でのみ使える「プライベートIPアドレス」が割り振られています。インターネットゲートウェイは、端末がインターネットにデータを送信する際に、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換する役割を担います。

インターネットゲートウェイによってはUTM(統合脅威管理)機能を備えている場合があり、認証・フィルタリング・暗号化などにより、盗聴やマルウェアのリスクを低減可能です。


ゲートウェイの導入方法

ゲートウェイ機器の導入・接続方法は、有線で接続する方法と、無線で接続する方法があります。

有線の場合、ゲートウェイ機器とデバイスをケーブルでつなぐため、ノイズの影響を受けにくいですが、ケーブルを設置する手間がかかることにご留意ください。無線の場合、Wi-FiやBluetoothなどで接続しますが、障害物によって通信に影響がおよぶことがあります。

導入方法の詳細は製品ごとに異なるため、機器の取扱説明書やメーカーの公式サイトでご確認ください。

使用する環境や、通信の安定性をどの程度求めるのかを検討し、自社に適した方法を選択しましょう。


ゲートウェイの活用例

パソコン・スマートフォン・ゲーム機などは、ゲートウェイの一種であるWi-Fiルーターを中継器としてインターネットに接続され、Webサイトの閲覧やゲームのプレイなどが実現されています。

また、各種施設の監視カメラや、スマートファクトリーの製造機器(IoTデバイス)をインターネット接続する際にも、ゲートウェイが用いられます。遠隔地から状態をチェックしたり、操作したりするためには、ゲートウェイが欠かせません。

さらに、「境界型セキュリティ」として、ネットワークの中継点で侵入を防ぎ内部の安全を守る、セキュリティシステムの設置点としても活用されています。


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システム部門などでネットワークの運用を担当している方は、ご来場の上、最新の情報を収集しましょう。また、機器・サービス・ソリューションを開発・製造・販売している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。

下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。


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業務内容や施設に適したゲートウェイ機器を選定・導入しよう

ゲートウェイは、異なるネットワークやプロトコルをつなぐための中継装置として、ネットワーク環境で非常に重要な役割を担う存在です。

企業においては、ネットワークの効率化がますます重要となり、適切なゲートウェイの選択がビジネスの成長には欠かせません。

企業のインターネットを最適化するために、業務内容や施設に適したゲートウェイ機器を選定・導入しましょう。

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▶監修:大岩俊之氏

プロフィール:家電製品総合アドバイザー
理系出身の元営業マン。大学ではAI(人工知能)を学びITエンジニアとして就職し、のちに電子部品メーカー・半導体商社・パソコンメーカーなどで、自動車部品メーカーや家電メーカー向けの法人営業を経験。その後、セミナー講師として活動する傍ら、家電製品の裏事情を知る家電コンサルタントとして活動開始。TBSラヴィット!や東海地区のテレビ番組に「家電の達人」として出演した経験を持つ。現在は、家電製品アドバイザー資格試験のeラーニング講師も務める。