販売管理とは?目的や業務フロー、システム活用のメリットを徹底解説
商品やサービスを販売する際には、「販売管理」を行うことで、業務全体の「モノ」や「カネ」の流れを把握・管理できます。販売管理を適切に行うことで、業務の効率化や顧客満足度の向上、利益拡大などが期待されます。
手作業による対応も可能ですが、人的ミスが発生しやすいため、販売管理システムを導入・活用することで、より安定した運用が見込めます。
本記事では、販売管理がどのような業務なのかを詳しく解説します。販売管理を実施する目的や業務フロー、業種別の販売管理方法、販売管理システムを導入するメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
販売管理とは
販売管理とは、商品の受注や出荷・代金請求・仕入れ・在庫管理などの販売プロセス全体の「モノ」や「カネ」の流れを管理する業務です。消費者の需要に迅速・的確に対応し、顧客満足度向上・利益拡大を実現するために実施されます。
販売管理は、受注管理・出荷管理・請求管理・仕入管理・在庫管理に区分されます。
管理する対象の「モノ」は、食品・日用品・衣料品など、物理的な実体がある有形商材だけに限定されません。サービスや情報などの無形商材も、「モノ」に含まれます。
販売管理と生産管理・営業管理・売上管理の違い
事業を営む際には、販売管理だけではなく、生産管理・営業管理・売上管理も実施されます。それぞれの管理業務と販売管理との違いを正しく理解しておきましょう。
生産管理とは、生産現場での資材調達・生産などのプロセスを効果的にマネジメントする業務です。具体的には、製品の品質・原価・納期を最適化し、納期までに製品を顧客に届けるために実施されます。
販売管理は、様々な業種で顧客満足度向上や利益拡大のために実施される業務です。それに対し、生産管理は、製造業などで生産工程の効率化を目的として実施されるなどの違いがあります。
営業管理とは、商品・サービスの営業活動プロセスを管理し、最適化する業務です。目標管理・顧客管理・案件管理・行動管理・モチベーション管理・人材育成管理などが含まれます。販売管理も営業管理も利益を拡大するために実施されますが、どのようなものを管理するのかが異なります。
売上管理とは、商品・サービスが売れた日時・個数・価格を管理する業務です。販売管理の一部として実施される場合もあり、売上目標・目標達成率・予算・経費などをチェックします。
販売管理では販売プロセス全体を管理対象としますが、売上管理では売上に関連した項目のみを管理対象とする点が異なります。
販売管理を実施する目的
販売管理業務を適切に遂行するためには、実施する目的を正確に理解しておくことが大切です。以下、販売管理を実施する3つの目的に関して詳しく説明します。
業務の効率化
販売活動での「モノ」や「カネ」の動きを正確に記録して一元的に管理し、業務プロセスを可視化すれば、重複発注や納品ミスなどのリスクを抑えることが期待できます。
また、販売管理システムを導入すれば、伝票処理や計算作業を迅速かつ正確に実施でき、人的ミスの発生が予防され、業務効率化につながります。その結果、他の業務に人員を割り当てることが可能で、企業のリソースを有効活用できるでしょう。
顧客満足度の向上
販売管理を適切に行うことで、納品や請求時のトラブルを未然に防ぐことができ、顧客との信頼関係の構築につながります。その結果、リピーターの獲得や新規顧客の増加も期待できます。
一方で、管理が不十分な状態で勘や経験に頼った対応を続けていると、ミスの発生リスクが高まり、顧客満足度の低下を招く可能性があります。。
利益の拡大
販売管理を通じて商品ごとの売上データを把握・分析することで、収益性の高い商品と低い商品を把握できます。収益性の高い商品の取り扱いを強化し、低い商品の見直しを行うことで、より効率的な販売戦略が可能になります。
さらに、蓄積されたデータをもとに需要を予測し、仕入れや在庫の調整を行うことで、保管コストの削減や利益率の向上にもつながります。
販売管理の流れ
販売管理は、受注管理・出荷管理・請求管理・仕入管理・在庫管理の5つのプロセスに区分されます。以下、販売管理を実施する際の流れを詳しく説明します。
①受注管理
販売管理は、受注管理から開始されます。受注管理とは、顧客からの問合せや見積もり・契約締結・受注に関する管理業務です。
受注したら、「どの商品を、いつまでに、どのくらい必要なのか」などの情報を生産部門に引き継ぎ、生産計画を立案・実行しましょう。
②出荷管理
出荷管理とは、出荷および納品に関する管理業務です。出荷業務では、納期に間に合うように出荷スケジュールを組みます。そして、注文書の内容に基づいて出荷指示書を作成し、生産・梱包・発送などを実施してください。
納品業務では、個数などに間違いがないことを顧客にチェックしてもらった上で、受領書に受領印やサインをもらいましょう。納品が完了したら、取引内容の記録や売上伝票の作成を実施します。
③請求管理
請求管理とは、代金の請求・回収に関する管理業務です。請求業務では、顧客ごとに請求額を確定し、請求書を発行・送付します。
請求書の発行方法には、取引ごとに発行する方法と、月に1回など一定の期間ごとにまとめて発行する方法があります。どちらの方法を採用するかは、事前に取引先と協議して取り決めておきましょう。
回収作業は、銀行振込などで対応します。期日までに全額が入金された場合は、入金伝票を作成し、売掛金の消込作業を実施しましょう。期日までに入金されなかった場合や、金額が不足していた場合は、納品状況と請求書を照らし合わせ不備がないことを確認の上、取引先へ確認しましょう。
④仕入管理
仕入管理とは、商品生産・サービス提供に必要な原料・部品・商材の調達に関する管理業務です。見積もり・契約締結・発注・入荷・検収・代金支払いの流れで進行します。
まず、複数の事業者に見積もりを依頼し、価格や納期を比較して自社に適した仕入先を選び、契約を締結して発注します。
納品物が入荷したら、種類や個数などをチェックし、問題がなければ仕入先に検収完了の旨を報告して代金を支払いましょう。納品物に問題がある場合は、返品処理を実施してください。
⑤在庫管理
在庫管理とは、在庫の数や種類を管理する業務で、受け払い・棚卸し・購買依頼の3つのプロセスに区分されます。受け払い(入出庫)とは、商品の受け取り(入庫)と在庫の引き払い(出庫)を意味します。品切れや過剰在庫に陥ることを防止するために、入出庫状況を記録する作業です。
棚卸しとは、「記録されている在庫データ」と「実際に倉庫で保管されている数量」が一致しているかどうかを定期的にチェックする作業です。記入ミスや紛失などでズレが生じていることが判明した場合は、データを修正してください。
購買依頼とは、在庫を適切に維持するために、商品・原料・部品などの購入を購買部門に依頼するプロセスです。
業種別の販売管理方法
業種によって、食品などの有形商材を扱うケースもあれば、サービスなどの無形商材を扱うケースもあります。以下、それぞれに適した販売管理方法を紹介します。
有形商材を扱う業種の販売管理方法
食品・日用品・衣料品など、物理的な実体がある有形商材を扱う場合は、在庫管理や物流管理を適切に実施することが重要です。欠品や過剰在庫の状態に陥らないように慎重に管理しましょう。
食品に関しては、賞味期限を考慮した取り扱いが求められます。また、鮮度を維持するために、温度の管理を徹底しなければいけません。
無形商材を扱う業種の販売管理方法
サービス・情報・ITツールなどの無形商材を扱う場合は、案件ごとの進捗状況・工数・外注費などの管理を適切に実施しなければいけません。そして、プロジェクトごとに収益性を把握し、サービスの品質を維持・向上させましょう。
物理的な実体がある商材を取り扱うわけではないため、倉庫にある在庫を管理したり、発送したりする業務はありません。
販売管理の課題とシステム導入での解決法
販売管理業務は、「紙とペン」あるいは「表計算ソフトウェア」を利用して手作業で実施することも不可能ではありません。しかし、作業を担う人員に多大な負担がかかり、記入・入力ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすいなどの課題があります。
そのため、「販売管理システム」と呼ばれる専用のITツールを導入して作業の負担を軽減し、人的ミスを抑制する企業が増加しています。
販売管理システムを導入するメリット
手作業で販売管理を行う場合、作業に従事する人員への負担が大きくなり、人的ミスが発生しやすくなります。こうした課題を軽減する手段として、販売管理システムの導入が挙げられます。
以下では、販売管理システムを導入することで得られる主なメリットを紹介します。
生産性が向上する
手作業で販売管理を実施する方法では、データの入力・分析に多大な労力・時間がかかります。
販売管理システムによっては、データを自動的に分析し、レポートとして出力する機能が搭載されている場合があります。システムが出力した分析結果を踏まえて施策を改善すれば、生産性の向上につながるでしょう。作業に要する時間が減少するため、「省力化」「働き方改革」を推進する上でも有効です。
スムーズに情報共有できる
「紙とペン」「表計算ソフトウェア」で販売管理を実施していると、他部門に情報を瞬時に共有できないことがあります。
しかし、販売管理システムを導入し、現場のメンバーにも閲覧権限を付与すれば、リアルタイムで情報を各部門に共有できます。情報を一元的に管理可能で、発注漏れ・納品漏れなどのミスの防止につながります。
人的ミスの予防につながる
「紙とペン」や表計算ソフトウェアによる管理では、記入ミスや入力ミス、データの紛失など、人的ミスが発生しやすくなります。
販売管理システムを導入し、他のシステムと連携してデータを自動で取り込むことで、こうしたヒューマンエラーの発生を抑えることが可能です。
販売管理システムの選び方
販売管理システムは、様々なベンダーによって開発・提供されており、多種多様なプロダクトやサービスが存在します。幅広い業種に対応しているシステムもあれば、特定の業種に特化したものもあるため、自社の業種や業務内容に適した製品を選定することが重要です。
また、オンプレミス型かクラウド型かなどの提供形態の違いも、選定時に確認すべきポイントです。オンプレミス型は、自社の構内に機器を設置する必要があり、一定の初期費用がかかるものの、カスタマイズ性に優れている点が特長です。
一方、クラウド型はカスタマイズ性に制限がある場合もありますが、機器の購入が不要で、導入コストを抑えやすいメリットがあります。
さらに、導入後のサポート体制も事前に確認しておくと安心です。ベンダーによっては、夜間や土日祝日の問合せに対応しているケースもあります。
「社内業務DX EXPO」で販売管理システムを探そう
RX Japanの展示会「Japan DX Week」の「社内業務DX EXPO」では、販売管理システムが数多く展示されます。
販売管理システムの導入を検討している場合は、ご来場の上、最新情報を収集してはいかがでしょうか。また、販売管理システムを開発・提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。
下表に、「社内業務DX EXPO」の開催地域・開催場所・日程をまとめました。
販売管理システムを導入して業務効率化・利益拡大を実現しよう
販売管理とは、販売プロセス全体の「モノ」や「カネ」の流れを管理する業務です。業務効率化や利益拡大を実現するためには、勘や経験に頼って商品を販売するのではなく、販売管理を実施することが重要です。
手作業で販売管理業務を遂行することも不可能ではありませんが、人的ミスが発生しやすいため、販売管理システムを導入・活用しましょう。
RX Japanの展示会「Japan DX Week」の「社内業務DX EXPO」では、販売管理システムが多数展示されます。販売管理システムの導入を検討している場合は、ご来場の上、最新情報を収集しましょう。販売管理システムを開発・提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。
▶監修:青井 真吾 氏
大学卒業後はIT企業に入社。システムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発を経験。その後独立し、人材派遣、不動産、自動車、ファッション、エネルギーなど多くの業界でDX推進などのITプロジェクトに従事。現在はAOIS Consulting株式会社を設立し、エンタープライズシステムの開発・導入を支援するITコンサルティングサービスを展開している。
