「プロキシサーバー」とは?ネットワーク接続の安全性を高める機能やVPNとの違いも解説!

情報システムの管理・運営に携わっている方であれば、「プロキシサーバー」という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

プロキシサーバーは、クライアントとWebサーバー間の通信を中継する役割を担い、ネットワーク接続の安全性向上や負荷分散に貢献します。その仕組みを正しく理解し、企業や団体(病院・学校など)の情報システム管理に役立てることが重要です。

本記事では、プロキシサーバーの仕組みや種類、利用するメリット・デメリット、VPNとの違いを徹底解説します。ぜひ参考にして、より安全で効率的なネットワーク運用を目指しましょう。

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プロキシサーバーとは

プロキシサーバーは、クライアント(LANからインターネットにアクセスするユーザー)とWebサーバーの通信を中継する役割を担うサーバーです。設置される場所は、LANとインターネットの境界です。

インターネットを利用する際、本来はパソコンなどのクライアントマシンから、外部のWebサーバーに直接アクセスします。しかし、セキュリティリスク低減などを目的として、しばしば、プロキシサーバーを設置してワンクッション挟んでから接続することがあります。


プロキシサーバーの仕組み

まず、クライアントからサーバーへのリクエストをプロキシサーバーが受け取り、その内容を宛先のサーバーに送信します。次に、サーバーからリクエストに対する応答があれば、その内容をプロキシサーバーが受け取ってクライアントに送り返す仕組みです。

レスポンスに問題がなければ、ユーザーのブラウザなどにWebサイトが表示されます。また、URLフィルタリング(不適切なURLへのアクセス制限)や言語の変換なども可能です。


プロキシサーバーの種類

プロキシサーバーは、設置場所による分類と、認証方法による分類で、それぞれ2つのタイプに分けられます。以下では、各タイプの特徴や違いを詳しく解説します。


設置場所による分類(フォワードプロキシとリバースプロキシ)

プロキシサーバーは、「どこに設置されるのか」の観点・切り口によって、フォワードプロキシとリバースプロキシに分類されます。

フォワードプロキシは、インターネットとLANの境界部分で、LAN側に設置されるプロキシサーバーです。ユーザーを守るためのプロキシサーバーであり、外部Webサイトへのアクセスを代理させるために用いられます。

アクセス制御やセキュリティチェック、匿名性の確保に役立ち、クライアントのIPアドレスを公開せずに済む点が魅力です。また、キャッシュ機能も有しており、一時的にWebサーバーのデータを保存できます。

リバースプロキシは、インターネットとLANの境界部分で、インターネット側に設置されるプロキシサーバーです。アクセスされるWebサーバーを守るためのプロキシサーバーであり、自社Webサイトへのリクエストを代理で受信させるために用いられます。

リバースプロキシを使用すると、配下にある複数のWebサーバーへ通信を分散できるため、パフォーマンスの向上やセキュリティ対策に効果を発揮します。また、ユーザーから直接Webサーバーが見えない仕組みとなるため、Webサーバーに対する直接攻撃を防止できます。

設定方法による分類(明示型プロキシと透過型プロキシ)

プロキシサーバーは、設定方法によって、明示型プロキシと透過型プロキシの2種類に分類できます。明示型プロキシは、クライアント端末側でIPアドレスやポート番号を設定(明示)した上で利用するタイプのプロキシサーバーです。

透過型プロキシは、個々の端末で特別な設定を行わなくても、強制的にプロキシサーバーを経由させるタイプのサーバーです。事前にプロキシサーバーの証明書をクライアント側にインストールし、ネットワーク制御によって通信を中継させる仕組みで実現されています。

明示型プロキシは設定に手間がかかるため、クライアント端末の台数が多い場合は透過型プロキシを選択しましょう。


プロキシサーバーを利用するメリット

プロキシサーバーは、匿名性の確保やアクセス履歴の収集、セキュリティ対策に役立ちます。また、負荷を分散できる点も魅力です。以下、4つのメリットを紹介します。


通信時の匿名性を確保できる

プロキシサーバーを経由して通信した場合、プロキシサーバーのIPアドレスがWebサーバーに送信されます。Webサーバー側はユーザーのIPアドレスを確認できないため、匿名性が高まります。

生のIPアドレスを知られてしまうとサイバー攻撃の標的にされるリスクがあるため、プロキシサーバーを利用して匿名性を確保しましょう。

アクセス履歴を収集できる

従業員・学生など、組織に属するメンバーのアクセス履歴を収集できる点も、プロキシサーバーを利用するメリットです。

プロキシサーバーには、「誰が・いつ・どのWebサイトにアクセスしたか」などの情報が記録されるため、不正利用や情報漏えい対策として有効です。

プロキシサーバーを導入していない場合、端末ごとに履歴を確認する必要がありますが、プロキシサーバーを利用すれば、その手間を省きつつ、効率的に監視・管理を行えます。

情報セキュリティ対策に役立つ

プロキシサーバーには、セキュリティ対策機能を搭載しているものもあります。これにより、外部からのサイバー攻撃をブロックし、社内システムを守ることが可能です。

さらに、組織内部の通信を監視することで、機密情報や個人情報などの重要データが社外に流出するリスクも低減できます。プロキシサーバーは、外部・内部の両面から情報セキュリティを強化する役割を果たします。

サーバーの負荷を分散できる

プロキシサーバーには、Webサイトの表示内容を一時的に保存する「キャッシュ機能」があり、同じ接続先へのアクセス時には表示を高速化できます。

また、アクセスが集中しないよう複数のサーバーに振り分ける「ロードバランシング」の機能を備えている場合もあります。これにより、多数のユーザーが同時にWebサイトへアクセスしても、負荷を効果的に分散し、安定した運用が可能になります。


プロキシサーバーのデメリット・注意点

プロキシサーバーには、メリットだけではなく、セキュリティや通信速度に関するデメリット・注意点もあります。以下、主なデメリット・注意点を紹介します。


公開プロキシサーバーの利用はセキュリティ面でリスクがある

インターネット上には、無料で利用できる「公開プロキシサーバー」も存在します。しかし、誰がどのように管理しているのかが判然としないケースが多く、情報を抜き取られるリスクがあるため、利用を避けるべきです。

安全に通信したいのであれば、ある程度のコストはかかりますが、部外者が自由に利用できない「非公開プロキシサーバー」を利用しましょう。

初回アクセス時は通信速度が低下する

プロキシサーバーを利用すると、過去に訪問したWebサイトはキャッシュ機能により高速表示が可能になります。

しかし、初回アクセス時にはプロキシサーバーを介する分、通信速度が通常より低下することがあります。特に、プロキシサーバーを多段構成にしていたり、多数のユーザーが同時にインターネットを利用していたりする場合には、通信速度が大幅に落ちる可能性があるため注意が必要です。


プロキシサーバーとVPNの違い

情報システムの管理・運用に携わる方なら、「プロキシサーバー」だけでなく「VPN」という用語も耳にしたことがあるでしょう。

VPN (Virtual Private Network/仮想専用通信網)は、拠点間を仮想的な専用線で接続し、安全な情報通信を可能にする仕組みです。

VPNを利用すると、生のIPアドレスを隠すことができ、通信内容も暗号化されるため、Webサイトやアプリの種類に関係なく、全てのトラフィックを保護できます。多くのVPNでは通信ログも保存されません。

一方、プロキシサーバーは通信の暗号化には対応しておらず、アプリケーションレベルで特定のアプリやブラウザのトラフィックのみを中継します。また、通信ログが保存される点もVPNとの大きな違いです。


「データセンター EXPO」でプロキシサーバーに関連した技術・ソリューションを探そう

RX Japanが主催する「Japan IT Week」の「データセンター EXPO」では、プロキシサーバーに関連した技術・ソリューションが多数展示されます。

プロキシサーバーの導入・利用を検討している方は、ご来場の上、最新の情報を収集してはいかがでしょうか。また、プロキシサーバーに関連した技術・ソリューションを開発・提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。

下表に、開催地域・開催場所・日程をまとめました。


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【構成展示会】
ソフトウェア&アプリ開発 展、
組込み・エッジ・IoT開発 EXPO、
情報セキュリティ EXPO、 データセンター EXPO、
IT人材不足対策 EXPO、 情シス応援 EXPO


プロキシサーバーを利用してセキュリティ水準を向上させよう

プロキシサーバーを利用すれば、セキュリティ水準が向上する他、負荷の軽減にもつながります。様々な種類があるため、各タイプの特徴を踏まえて、自社に適したプロキシサーバーを選択しましょう。

RX Japanが主催する「Japan IT Week」の「データセンター EXPO」では、プロキシサーバーに関連した技術・ソリューションが多数展示されます。

プロキシサーバーの導入・利用を検討している方は、ご来場の上、最新の情報を収集しましょう。プロキシサーバーに関連した技術・ソリューションを開発・提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために出展を検討してはいかがでしょうか。

 

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▶監修:青井 真吾 氏

プロフィール:大学卒業後はIT企業に入社。システムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発を経験。その後独立し、人材派遣、不動産、自動車、ファッション、エネルギーなど多くの業界でDX推進などのITプロジェクトに従事。現在はAOIS Consulting株式会社を設立し、エンタープライズシステムの開発・導入を支援するITコンサルティングサービスを展開している。

HP:https://aoisconsulting.com/