ID決済とは？代表的な種類や使い方、メリット・デメリットなどをわかりやすく解説

ID決済は多くの企業が提供しており、それぞれ特徴やターゲット層が異なります。自社の顧客属性や販売戦略に合ったID決済サービスを選定するためには、各サービスの特性を正しく理解しておくことが重要です。

代表的なID決済サービスは、以下のとおりです。

• PayPay
• メルペイ
• 楽天ペイ
•  LINE Pay
•  Apple Pay
• Amazon Pay

それぞれ、以下で詳しく解説します。

PayPayは、国内最大級のユーザー数を誇るキャッシュレス決済サービスです。

スマートフォンを使ったQRコード決済のイメージが強いですが、ECサイト向けのID決済としても広く普及しており、登録済みアカウントを使って簡単に支払いを完了できます。

さらに、PayPayでは定期的にキャッシュバックやポイント還元などの大規模キャンペーンを実施しているため、ユーザーの購買意欲を高める強力な販促施策としても活用可能です。

メルペイは、フリマアプリ「メルカリ」を運営する株式会社メルカリが提供するID決済サービスです。

メルカリ内で得た売上金をECサイトやネットサービスの支払いに充てられるため、現金化せずに手軽に利用できます。

また、NTTドコモとの連携により「dポイント」が利用可能であるため、メルカリユーザーだけでなく、dポイントを活用したいドコモユーザーの利用も見込まれます。

楽天ペイは、楽天グループ株式会社が提供するID決済サービスで、楽天IDを利用して簡単にオンライン決済ができる仕組みです。

支払い方法は楽天カードや楽天ポイント、楽天キャッシュが利用でき、ユーザーは自身のライフスタイルに合った方法で柔軟に決済できます。

楽天市場や楽天モバイルなど、日常的に楽天のサービスを利用している顧客層との親和性が高く、導入すれば楽天ユーザーの取り込みが可能です。

LINE Payは、LINE Pay株式会社が提供するID決済サービスで、SNSアプリ「LINE」を利用しているユーザーなら誰でも登録可能です。LINEの高い普及率により、多くの潜在顧客にアプローチできる点が強みです。

また、LINE PayはコンビニATMや金融機関の口座から現金をチャージして使うプリペイド型を採用しており、クレジットカードを持たない層でも手軽にキャッシュレス決済を利用できます。特に、若年層や学生などクレジットカード非保有層の取り込みに有効です。

なお、LINE Payは2025年4月30日（水）をもってサービスを終了しました。

Apple Payは、Apple社が提供する非接触型ID決済サービスです。iPhoneやApple WatchなどのApple製品を使用して、スムーズに決済できる点が特徴です。

店舗でのタッチ決済のイメージが強いですが、ECサイトやアプリ内での支払いにも対応しています。指紋認証（Touch ID）や顔認証（Face ID）を活用した生体認証により、IDやパスワードの入力なしで素早く安全に購入手続きが完了します。

Apple製品ユーザーとの親和性が高いため、ターゲット層にAppleユーザーが多いECサイトに特におすすめです。

Amazon Payは、Amazonが提供するID決済サービスで、Amazonアカウントに登録済みのクレジットカード情報や配送先住所を利用してスムーズな支払いが可能です。

消費者は新たな情報入力が不要で、普段使い慣れたAmazon環境で決済できるため、購入途中の離脱防止に効果を発揮します。

また、Amazonは国内外に多数のユーザーを抱えているため、将来的に海外展開を見据えている企業にも導入メリットが大きいといえるでしょう。

ID決済の支払い方法は、サービスごとに若干異なります。そのため、スムーズに利用するためにも、事前に各サービスの使い方や支払いの流れを確認しておきましょう。

今回は、利用者数が6,800万人※を超えている「PayPay」を例に、ECサイトやネットサービスで支払う場合の流れを以下で解説します。

※：2025年3月時点。

スマホを操作して、ECサイトやネットサービスの支払いをPayPayで行う場合、スマホにインストールしたアプリで支払う方法と、ブラウザで支払う方法があります。

スマホにインストールしたアプリで支払う方法は以下のとおりです。

1. ECサイトやネットサービスの支払いで「PayPay」を選択する
2. 「PayPay」アプリが自動的に起動するので、金額を確認して「支払う」ボタンをタップする
3.  支払いが完了したら、ECサイトやネットサービスのページに戻るまで待つ

PayPayで支払う場合は、完了しても勝手にアプリやページを閉じないことに注意しましょう。閉じてしまうと、購入が失敗する可能性があります。

スマホのブラウザで支払う方法は以下のとおりです。

1. ECサイトやネットサービスの支払いで「PayPay」を選択する
2. ブラウザの画面が「PayPay」の画面に切り替わる
3. 「PayPay」の携帯電話番号とパスワードを入力してログインする
4. SMSで送信された4桁の認証コードを入力する
5. 金額を確認して「支払う」ボタンをタップする
6. 支払いが完了したら、ECサイトやネットサービスのページに戻るまで待つ

スマホにアプリをインストールしていない場合は、ブラウザからPayPayのサービスにログインして支払う流れになります。

なお、支払う際には、SMSで受け取る認証コードが必要になるので、登録しているスマホを手元に用意しましょう。

パソコンを利用してECサイトやネットサービスの支払いをPayPayで行う場合、画面に表示されたQRコードをスマホアプリで読み取る方法や、アカウントIDとパスワードでログインして支払う方法があります。

表示されたQRコードをスマホアプリで読み込む方法は以下のとおりです。

1. ECサイトやネットサービスの支払いで「PayPay」を選択する
2. パソコンに「PayPay」で支払うためのQRコードが表示される
3. スマホの「PayPay」アプリを開いて、ホーム画面の「スキャン」をタップする
4. カメラでパソコン画面のQRコードを読み取る
5. 金額を確認して「支払う」ボタンをタップする
6. 支払いが完了したら、ECサイトやネットサービスのページに戻るまで待つ

何らかの理由でQRコードを読み取れない場合は、アカウントのIDとパスワードでログインして支払う方法を利用しましょう。

アカウントのIDとパスワードでログインして支払う方法は以下のとおりです。

1. ECサイトやネットサービスの支払いで「PayPay」を選択する
2. QRコードの横に表示されている入力フォームに、「PayPay」の携帯電話番号とパスワードを入力してログインする
3. SMSで送信された4桁の認証コードを入力する
4. 金額を確認して「支払う」ボタンをタップする
5. 支払いが完了したら、ECサイトやネットサービスのページに戻るまで待つ

アカウントのIDとパスワードでログインして支払う場合、SMSでの認証が必要になるので、登録しているスマホを手元に用意しましょう。

多様化する消費者ニーズに対応するため、決済手段の拡充はECサイト運営で大きな強みとなります。

特にID決済を導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

• ECサイトの集客力を高める
• 消費者の手間を減らせる

それぞれ、以下で詳しく解説します。

ECサイトの集客力を強化するには、利用者のニーズに応じた多様な決済手段の整備が不可欠です。
ID決済を導入することで、クレジットカードを持たない若年層やスマホユーザーにも対応でき、幅広い層の取りこぼしを防げます。

さらに、IDとパスワードだけでスムーズに決済できる利便性は、顧客満足度を高める要因となり、リピーターや新規顧客の獲得にもつながります。
決済手段の多様化を図りたい企業にとって、ID決済の導入は効果的な施策のひとつです。

ECサイトの利用時に、消費者が煩わしさを感じやすいポイントのひとつが、クレジットカード情報の入力作業です。

カード番号やセキュリティコードの入力は、特にスマホ操作中やカードが手元にない場合、購入をためらう原因になりやすいです。こうした「カゴ落ち」を防ぐためにも、ID決済は有効です。

登録済み情報を利用して簡単に支払えるため、購入のハードルを大きく下げることができ、結果として売上向上にもつながる可能性があります。

ID決済は消費者の利便性や集客力を高めますが、以下のデメリットが発生する可能性に注意しましょう。

• ID決済サービスとの契約が必要
• ID決済サービスによって内容が異なる

それぞれ、以下で詳しく解説します。

ID決済をECサイトに導入するには、決済サービスを提供する事業者との契約が必要です。申し込み手続きや審査があり、必要な書類の提出やシステム連携作業などの手間が発生します。

複数のID決済を導入する場合は、サービスの数だけ契約や設定、運用管理の対応などが必要となり、事業者側の手間や管理コストが増える可能性があります。

そのため、導入前には対応できる人的リソースや運用体制を明確にし、必要性の高い決済手段に絞って段階的に導入しましょう。

ID決済サービスは、提供企業ごとに仕様や条件が異なるため、導入前に慎重な比較検討が必要です。

特に注目すべきポイントは、「決済手数料」と「入金サイクル」の2点です。

例えば、同じ5,000円の商品が売れても、決済手数料率の違いによって手元に残る利益は変動します。長期的に見れば、手数料の差が経営に与える影響は無視できません。

また、売上が入金されるタイミングもサービスごとに異なるため、資金繰りに与える影響を考慮することも重要です。ID決済を導入する際は、顧客の利便性を向上させつつ、自社の運用負担やコストに見合ったサービスを選びましょう。

各社ごとに提供条件が異なるため、導入にあたっては慎重な比較や検討が欠かせません。

ID決済サービスの導入方法には、大きく分けて「直接契約」と「決済代行業者を通じた契約」の2種類があります。

直接契約は、ECサイトを運営する事業者がID決済サービスを提供する企業と個別に契約や設定を行う方法です。

一方、決済代行業者を通じて契約すれば、複数のID決済サービスを一括で導入でき、手続きの効率化や技術サポートを受けられます。

ただし、直接契約に比べて手数料が高くなる傾向があり、入金サイクルやサポート体制などのサービス内容も代行業者ごとに異なるため、比較や検討が重要です。

コストと手間のバランスを見極め、自社に合った導入手段を選択しましょう。

ID決済の導入は、ECサイトの集客力を高める有効な施策のひとつです。

クレジットカード決済のように毎回カード番号やセキュリティコードを入力する手間がなく、IDとパスワードだけでスムーズに支払えるため、購入へのハードルが下がり、カゴ落ちの防止や顧客満足度の向上が期待できます。

ただし、ID決済はサービスによって手数料や入金サイクルが異なる上、直接契約する場合は事業者側の手間が増える点に注意が必要です。

複数のID決済を一括導入したい場合は、決済代行業者の活用も視野に入れ、決済手数料や機能、サポートなどの面から比較し、検討しましょう。

RX Japanが主催する「EC・店舗 Week」の「ECサイトのUI/UX EXPO」では、ID決済に関連したサービスやツールが多数展示されます。

ID決済を詳しく知りたい、あるいは相談したい企業の場合は、ご来場の上、最新情報を収集しましょう。また、ID決済に関連したサービスやツールを提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために出展を検討してはいかがでしょうか。

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