工程管理とは?実施する目的や手法、システムを選ぶ際のポイントなどを詳しく解説!
工程管理とは、納期に間に合うように商品を生産(または工事を遂行)するために、人員の配置や機械の稼働状況などを調整・管理する業務です。また、納期遵守の観点だけではなく、品質基準を満たし、不良品の発生を防ぐためにも不可欠です。
工程管理は、製造業の他、建設業・農業・ソフトウェア開発業など、幅広い業種で実施されます。工場内のみで実施される業務ではありません。
本記事では、工程管理の基本的な業務内容や、実施によって得られる主なメリットについて詳しく解説します。あわせて、工程管理の流れや主に使用される図表、工程管理システムの代表的な機能、システム選定時のポイントについても紹介します。工程管理業務に携わっている方や、これから携わる予定の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
工程管理とは
工程管理の目的
工程管理と生産管理の関係
工程管理を実施するメリット
進捗状況が可視化され、納期遅れを防止できる
生産効率の向上や品質管理の強化、コスト削減につながる
工程管理の流れ
計画を立案する(Plan)
工程管理を実施する(Do)
実施した結果を分析・評価する(Check)
施策を改善する(Action)
工程管理で用いられる主な図表
横線式工程表
ネットワーク式工程表
曲線式工程表
工程管理の手法
紙や表計算ソフトウェアで実施する方
工程管理システムで実施する方法
工程管理システムの主な機能
工程計画作成機能
進捗管理機能
分析機能
工程管理とは
工程管理とは、納期に間に合うように商品を生産したり、工事を遂行したりするために、人員の配置や機械の稼働状況などを調整・管理する業務です。
工程管理が実施される業種は、製造業だけではありません。建設業・農業・ソフトウェア開発業など、多種多様な業種で実施されます。
工程管理の目的
工程管理の主な目的は、納期の遵守です。質の高い製品を製造しても、納期に間に合わなかった場合、受け取りを断られたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。
加えて、品質基準を満たすように従業員・機械などを動かし、不良品の発生を防ぐことも、工程管理を実施する目的です。
工程管理と生産管理の関係
工程管理に似た用語に「生産管理」があります。生産管理とは、社会・市場の要求を満たす製品・サービスを製造・提供するための管理業務です。
生産管理では、QCD(品質・コスト・納期)の最適化を目指し、全体的な視点で管理します。それに対し、工程管理は、生産管理の中でも工程に関わる業務の管理にフォーカスしたものです。工程管理は生産管理の一部であり、両者が補完し合いながら、現場の生産性向上・品質向上を支える関係です。
工程管理を実施するメリット
工程管理は、納期遅れを防止する上で重要な業務です。また、企業の業績改善につながることも、工程管理を実施するメリットです。以下、それぞれを詳しく説明します。
進捗状況が可視化され、納期遅れを防止できる
勘や経験に頼って作業を進行していると、納期までに完了しない場合があります。納期を過ぎてしまうと、製品の受け取りを拒否されたり、損害賠償を請求されたりするかもしれません。
工程管理を実施すれば、進捗状況が図表で可視化され、納期遅れの防止につながります。やむを得ない事情で納期に間に合わない場合でも、早期に状況を把握してクライアントに説明可能です。
生産効率の向上や品質管理の強化、コスト削減につながる
工程管理を実施すれば、図表によって工程が可視化されるため、全体の生産性向上を妨げている作業の改善や品質管理の強化につながります。また、無駄な工程を発見して、それを省くことにより、人員の削減も可能です。
世界規模で競争しなければいけない昨今、納期以外の観点でも、工程管理は重要です。工程管理を実施して、生産効率の向上や品質管理の強化、コストカットを実現し、競争力を強化しましょう。
工程管理の流れ
工程管理は、PDCAサイクルを回し、施策を改善しながら実施します。以下、P(計画)・D(実行)・C(評価)・A(改善)の各段階を詳しく説明します。
計画を立案する(Plan)
PDCAサイクルとは、以下に示す4つのプロセスを繰り返して施策を改善し、業務効率化を図る手法です。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
工程管理を実施する際は、まずは計画を立案しましょう。人員・機械・資材などの状況を踏まえて各単位作業の日程や作業手順を決め、工程表を作成し、KPIも設定してください。
工程管理を実施する(Do)
計画の立案が完了したら、実行の段階に移行します。
計画段階で作成した工程表を踏まえて人員・機械・資材などを手配し、指示・監督業務を遂行してください。また、定期的にKPIの集計を実施することも忘れてはいけません。
実施した結果を分析・評価する(Check)
工程の区切りごとに、立案した計画・工程表どおりに進行しているかどうかを評価しましょう。
計画どおりに進行していないことが判明した場合は、現場の人員や有識者などの意見を聴取し、進捗が遅れている原因を分析してください。
施策を改善する(Action)
分析結果を踏まえて、課題を解決するために、作業方法や工程表の内容を改善してください。
現場の人員・管理者だけでは解決できないケースがあるかもしれません。その場合は、PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)などにエスカレーションし、組織全体で取り組みましょう。
工程管理で用いられる主な図表
工程管理を実施する際には、様々な図表が利用されます。以下、代表的な図表として、「横線式工程表」「ネットワーク式工程表」「曲線式工程表」の3つを紹介します。
横線式工程表
横線式工程表とは、大規模な作業・プロジェクトを小さなタスクに分割し、管理するために用いられる図表です。以下に示す2つの種類があります。
- バーチャート:縦軸に作業名、横軸に作業の予定日数・実施状況をバー(棒線)で示した図
- ガントチャート:縦軸に作業名、横軸に作業の達成率(%)をバーで示した図
なお、バーチャートの形式であってもガントチャートと呼ばれることが多く、両者の定義はあいまいな部分があります。そのため、利用時には文脈に応じて使い分けられることが一般的です。
作業の進捗状況を一目で確認でき、情報共有しやすいため、多くの企業で利用されています。
ネットワーク式工程表
ネットワーク式工程表とは、イベント(作業の開始・終了)を意味する「丸印」を、作業を意味する「矢印」で結んだ網目状の図です。「ネットワーク図」「アロー・ダイアグラム」「PERT図」と呼ばれる場合もあります。
丸印の内部には番号が、矢印の近くには作業名を示す記号と作業時間(日数)が記載されます。作業の前後関係をスムーズに認識でき、ある作業の遅れが他の作業に及ぼす影響を迅速かつ的確に把握可能です。
ネットワーク内の経路のうち、最も時間がかかる経路は「クリティカルパス(Critical Path)」と呼ばれ、納期を遵守する上で重要です。
曲線式工程表
曲線式工程表とは、縦軸に「全作業のうち何%が完了したのか」を、横軸に「時間(月数・日数など)」を示した図です。作業の進捗状況や作業量の時間的変化を視覚的に把握可能です。
必ずしも許容限界曲線を描くとは限りませんが、描くことでリソースの配分や進捗の偏りを管理するのに活用できます。
上方許容限界曲線と下方許容限界曲線を描き、その範囲内で進行するように管理します。進捗状況を示す工程曲線はS字型で、上方許容限界曲線と下方許容限界曲線に囲まれる形状がバナナに似ているため、「バナナ曲線」とも呼ばれます。
工程管理の手法
工程管理は、「紙とペン」「表計算ソフトウェア」でも実施できますが、近年は「工程管理システム」を利用するケースが増加中です。それぞれを詳しく説明します。
紙や表計算ソフトウェアで実施する方
工程管理は、ITツール・ソフトウェアを用いずに、紙とペンで実施することも可能です。ITツールを用いる場合であっても、工程管理専用のソフトウェアではなく、事務作業で利用する「表計算ソフトウェア」で実施する場合があります。
これらの方法では、手作業で各種図表を作成し、工程管理を実施します。管理を実施する人員に多大な負担がかかり、記入・入力ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすいため、業務効率化の観点からは推奨されません。
工程管理システムで実施する方法
近年、工程管理専用のITツール「工程管理システム」で工程管理を実施するケースが増加しています。
工程管理システムでは、他のシステムと連携してデータを取り込んだり、様々な図表の自動作成が可能です。ヒューマンエラーが減少し、管理作業が効率化されるため、導入・活用を検討しましょう。
工程管理システムの主な機能
様々なベンダーが工程管理システムをリリースしており、システムごとに搭載されている機能が異なりますが、主な機能は共通しています。以下、代表的な機能を紹介します。
工程計画作成機能
工程計画の立案や調整を支援する機能では、人員や機械の配置、資材調達、組立・加工などのプロセスを一元的に管理できます。
また、工程表を自動で作成・表示する仕組みにより、業務の効率化にも貢献します。
進捗管理機能
各各作業の進捗率や目標の達成状況を把握し、遅れが発生している工程を可視化するのが進捗管理機能です。
タブレットやスマートフォンを活用して現場から実績を入力できる仕組みもあり、管理者がリアルタイムで状況を確認できます。
分析機能
生産量やロスの発生率、経費、負荷状況などのデータを分析・レポートするのが分析機能です。
現場で入力された実績をもとに、リアルタイムでの分析が可能な他、過去データとの比較を通じて、客観的な判断材料として活用できます。
工程管理システムを選定・導入する際のポイント
工程管理システムを選定する際に最も重要なのは、自社の業務に必要な機能が搭載されているかを確認することです。 例えば、受発注管理機能や在庫管理機能を備えた製品もあり、さらに勤怠管理システムなど既存システムと連携できるかどうかも重要な確認ポイントとなります。
また、自由なカスタマイズを重視する場合はオンプレミス型、初期費用を抑えたい場合はクラウド型のサービスを検討するとよいでしょう。
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工程管理に携わっている方や、これから携わる予定の方は、ご来場の上、最新情報を収集してはいかがでしょうか。また、工程管理システムを開発・販売・提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。
下表に、「現場DX EXPO」の開催地域・開催場所・日程をまとめました。
工程管理を実施して生産性向上・利益拡大を実現しよう
工程管理とは、納期に間に合うように商品を生産したり、工事を遂行したりするために、人員の配置や機械の稼働状況などを調整・管理する業務です。工程管理を実施することは、品質基準を満たし、不良品の発生を防ぐ上でも重要で、生産性向上・利益拡大につながります。
RX Japanの展示会「Japan DX Week」の「現場DX EXPO」では、工程管理システムが多数展示されます。工程管理に携わる方は、ご来場の上、最新情報を収集しましょう。また、工程管理システムを開発・販売・提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために出展をご検討ください。
▶監修:持木 健太 氏
TOMAコンサルタンツグループ株式会社 取締役、中小企業診断士。
DX推進の総責任者として、テレワーク環境構築・ペーパーレス化・AI活用支援・ビジネスモデルの再構築などで活躍中。企業の労働生産性向上や付加価値向上を目指して、中小企業から上場企業まで幅広く対応している。
