クラウドサーバーとは?レンタルサーバーとの違いや導入するメリット、選び方を解説

オンプレミス型のサーバーを導入する場合は、機器を購入し、自社の構内に設置する必要があり、一定の初期費用が発生します。運用開始後も、保守・管理に継続的な手間がかかります。

一方で、クラウドサーバーを利用すれば、機器の購入が不要となり、保守管理にかかる負担も軽減されます。

本記事では、サーバーの選定や運用に携わっている方、あるいは今後関与する予定のある方に向けて、クラウドサーバーの基本的な仕組みや特徴を解説します。

レンタルサーバーとの違いをはじめ、クラウドサーバーを導入する際のメリット、デメリット、注意点、選び方に関しても紹介します。

日本最大のシステム開発・運用・保守に関する総合展

【構成展示会】
ソフトウェア&アプリ開発 展、
組込み・エッジ・IoT開発 EXPO、
情報セキュリティ EXPO、 データセンター EXPO、
IT人材不足対策 EXPO、 情シス応援 EXPO


クラウドサーバーとは

クラウドサーバーとは、インターネット回線を介したアクセスにより、サーバーの機能を利用できるオンラインサービスです。インターネットを介してアクセスする仮想的なサーバー環境で、「どこに物理的な機器が存在するのか」を意識せずに利用できます。

「クラウドサーバー」の呼称は、物理的なハードウェアが「クラウド(雲)の向こう側(目に見えない場所)」に存在する点に由来します。


クラウドサーバーとレンタルサーバーの違い

クラウドサーバーと似た用語に「レンタルサーバー」があります。レンタルサーバーには、共有サーバー・専用サーバー・仮想専用サーバー(VPS)などの種類があります。共有サーバーは、物理的なサーバーを複数ユーザーで共有する仕組みで、基本的に仮想化は行われません。

一方、VPSは仮想化技術を用いて構築され、専用サーバーに近い柔軟性を持ちます。クラウドサーバーも仮想化技術を活用しますが、必要に応じてリソースを柔軟に増減できる拡張性や、従量課金制などの運用面に違いがあります。


クラウドサーバーを導入するメリット

クラウドサーバーには、様々なメリットがあります。物理的な機器を購入して社内で管理する必要がないため、費用や管理の手間を削減したい場合は、導入を検討しましょう。


初期費用・保守負担を大幅に抑制できる

オンプレミス型のサーバーを導入する場合は、物理的な機器を購入し、自社の構内に設置する必要があります。そのため、初期費用が発生し、運用開始後も保守・管理に手間がかかります。

一方、クラウドサーバーは、機器を購入して社内に設置する必要がなく、インターネット環境とパソコンがあれば、すぐに利用を開始できます。初期費用や保守管理の負担を大幅に軽減できる点が、クラウドサーバーの特長です。

用途に応じて機能を追加し、スペックを変更できる

オンプレミス型サーバーでは、運用開始後に用途に応じた機能の追加やスペックの変更を行うには制約があります。ハードウェアの変更には多額のコストがかかるため、対応を見送らざるを得ないケースもあります。

一方、クラウドサーバーであれば、利用開始後でも必要に応じて機能やスペックの調整が柔軟に行えます。自社でハードウェアを購入・交換する必要がなく、繁忙期にはスペックを拡張し、閑散期には元の状態に戻すなどの運用も可能です。

セキュリティ対策・災害対策をベンダーに任せられる

オンプレミス型のサーバーを運用する場合は、セキュリティ対策や災害対策を含め、全て自社の責任で実施する必要があります。

一方、クラウドサーバーでは、事業者やサービス形態によって責任範囲は異なるものの、一般的には物理的な設備やインフラ面の対策を提供側が担い、利用者はデータやアプリケーションなど運用面の管理を行う形で責任を分担します。これにより、自社の負担を軽減できる場合があります。

また、クラウドサーバーは複数拠点に物理機器を分散配置し、防火設備や耐震構造を備えた施設に設置されるケースが多く、大規模な自然災害時でも被災地域外のサーバー経由で業務継続できる可能性があります。


クラウドサーバーのデメリット・注意点

クラウドサーバーには、上述したように、様々なメリットがあります。一方で、導入にあたってはデメリットや注意点も存在するため、それらを十分に理解した上で導入を検討しましょう。


料金体系や利用方法によってはコストが増大する場合がある

クラウドサーバーの料金体系はベンダーによって異なり、月額の定額制を採用している場合もあれば、利用量に応じた従量課金制が適用される場合もあります。

従量課金制では、データ転送量などに応じて料金が変動します。想定を超えるデータ転送が発生すると、請求額が増加し、コスト負担が大きくなる可能性もあるため、事前の確認が重要です。

セキュリティ対策・サポート体制が不充分なベンダーも存在する

実施されているセキュリティ対策や提供されるサポート体制は、ベンダーごとに異なります。なかには、対応内容が自社の要件を満たさないケースもあるため、事前の確認が重要です。

各ベンダーの公式Webサイトを確認したり、資料を取り寄せたりすることで、提供内容や体制の実態の把握ができます。

なお、ベンダー側で厳格なセキュリティ対策が講じられていても、自社のパソコンなどからデータが漏洩する可能性もあります。「セキュリティ対策用ソフトウェアをインストールする」「データの持ち出しを禁止する」など、社内でセキュリティ対策を講じることも重要です。


クラウドサーバーを選定する際にチェックするべき要素

様々なベンダーがクラウドサーバーを提供しているため、選定に関して悩む場合もあるでしょう。以下、比較・選定する際にチェックするべき要素を4つ紹介します。


料金

料金体系が定額制か従量制かを確認した上で、複数のベンダーを比較し、自社の利用形態に適したクラウドサーバーの選定が重要です。

定額制の場合、アクセス回数などに制限が設けられていることがあります。従量制では、データ転送量や利用時間に応じて料金が変動します。加えて、通常料金とは別に発生するカスタマイズ費用に関しても、事前に確認しておきましょう。

処理能力・ストレージ容量

クラウドサーバーの処理能力やストレージ容量、対応しているOSなどは、ベンダーごとに異なります。ベンダーによっては、複数のOSに対応している場合もあります。

各社の公式Webサイトを閲覧したり、電話やメールなどで問合せたりして、処理能力・ストレージ容量・対応OSを確認しましょう。

セキュリティ水準

どの程度のセキュリティ対策を講じているのかは、ベンダーによって異なります。セキュリティ対策を重視するのであれば、以下の認証・評価を受けているベンダー・サービスを選びましょう。

  • ISMSクラウドセキュリティ認証
  • 政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)

ISMSクラウドセキュリティ認証は、通常の情報セキュリティ対策とクラウドサービス利用時の対策が適切に実施されていることを認証する制度です。また、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度は、日本政府が求めるセキュリティ要件を満たすクラウドサービスを評価・登録する制度です。

サポート体制

ベンダーによって、24時間365日サポートを受けられるケースもあれば、夜間や週末には受けられないケースもあります。金融サービスやオンラインゲームなど、夜間や土日祝日でもサーバーを稼働し続ける場合は、いつでもサポートを受けられるベンダーを選ぶと安心です。

また、メール・チャットだけではなく、電話での問合せが可能かどうかもチェックしましょう。想定外のトラブルが発生し、文章で状況をうまく伝えられない場合でも、電話であればスムーズに意思疎通できるケースがあります。


クラウドサーバーを探すなら「データセンターEXPO」へ

RX Japanの展示会「Japan IT Week」の「データセンターEXPO」では、様々なクラウドサーバーが展示されます。

クラウドサーバーの導入を検討している場合は、ご来場の上、最新情報を収集してはいかがでしょうか。また、クラウドサーバーを提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。

下表に、「データセンターEXPO」の開催地域・開催場所・日程をまとめました。


日本最大のシステム開発・運用・保守に関する総合展

【構成展示会】
ソフトウェア&アプリ開発 展、
組込み・エッジ・IoT開発 EXPO、
情報セキュリティ EXPO、 データセンター EXPO、
IT人材不足対策 EXPO、 情シス応援 EXPO


メリットやデメリットを把握してクラウドサーバーを導入しよう

クラウドサーバーとは、インターネット回線を介してアクセスし、サーバーの機能を利用できるオンラインサービスです。初期費用を抑えられ、保守管理の負担も軽減できます。

用途に応じて機能追加やスペック変更が可能な点に加え、物理設備のセキュリティ対策や災害対策はベンダーが担う場合が多く、自社は運用やデータ管理など利用者側で必要なセキュリティ対策を講じながら活用できます。

RX Japanの展示会「Japan IT Week」の「データセンターEXPO」では、様々なクラウドサーバーが展示されます。クラウドサーバーの導入を検討している場合は、ご来場の上、最新情報を収集しましょう。クラウドサーバーを提供している企業の場合は、新規顧客開拓のために、ぜひ出展をご検討ください。

日本最大のシステム開発・運用・保守に関する総合展「Japan IT Week」の詳細はこちら


▶監修:青井 真吾 氏

大学卒業後はIT企業に入社。システムエンジニアとして大手企業向けのERPシステム開発を経験。その後独立し、人材派遣、不動産、自動車、ファッション、エネルギーなど多くの業界でDX推進などのITプロジェクトに従事。現在はAOIS Consulting株式会社を設立し、エンタープライズシステムの開発・導入を支援するITコンサルティングサービスを展開している。

HP: https://aoisconsulting.com/